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痛みが長引く理由の一つ。疾病利得と痛み行動の関係

痛みが長く続くと、なぜ治らないのだろうと不安になる方は多いです。
検査では大きな異常がない。
湿布や薬を使っても変わらない。
マッサージを受けてもすぐ戻る。
そんな痛みの中には、体の損傷だけでは説明しきれないものがあります。
その一つに、疾病利得という考え方があります。
少し難しい言葉ですが、簡単に言うと、痛みがあることで周囲から気遣ってもらえたり、大切にしてもらえたりすることが、無意識のうちに痛みの行動を強めてしまうことがあるという考え方です。
今回は、痛みが長引く仕組みの一つとして、疾病利得と痛み行動について分かりやすくお伝えします。
・検査では大きな異常がないのに痛みが続いている方
・マッサージや骨盤矯正で治らなかった方
疾病利得とは何か
疾病利得とは、病気や痛みがあることで、本人にとって何らかの利益が生まれることを指します。
利益という言葉を使うと、少し嫌な印象を受けるかもしれません。
痛いふりをしている。
わざと治さないようにしている。
そう思われるのではないかと不安になる方もいると思います。
しかし、疾病利得は、本人が意識して痛みを作っているという意味ではありません。
多くの場合、無意識に起こるものです。
たとえば、痛みを訴えると家族が優しくしてくれる。
職場で配慮してもらえる。
無理をしなくてよくなる。
自分のつらさを分かってもらえる。
周囲が心配して声をかけてくれる。
このような反応は、本来とても自然なものです。
痛みがある人を気遣うことは悪いことではありません。
周囲の優しさも大切です。
ただし、痛みを訴えたときだけ周囲から注目される、痛そうにしているときだけ大切にされる、という状態が続くと、脳がその行動を学習してしまうことがあります。
痛いと訴える。
痛そうな顔をする。
じっとして動かない。
動くことを避ける。
すると、周囲から気遣いや安心が得られる。
この流れが何度も繰り返されると、痛み行動が強化されることがあります。
ここで大切なのは、痛みそのものが嘘という意味ではないことです。
痛みは本当に感じています。
ただ、痛みの出方や痛みへの反応が、周囲の対応や生活環境によって強くなったり、長引いたりすることがあるのです。
慢性的な痛みでは、体の状態だけでなく、脳や神経の働き、感情、生活環境、人間関係も関係します。
そのため、痛い場所だけを揉む、骨だけを見る、画像だけを見るという考え方では、痛みの全体像を捉えきれないことがあります。
疾病利得は、患者さんを責めるための言葉ではありません。
痛みが長引く背景を理解し、そこから抜け出す方法を考えるための視点です。
痛み行動が強化される仕組み
痛みが出るきっかけには、体への負担やケガなどがあります。
これを難しい言葉で侵害刺激と呼ぶことがあります。
たとえば、腰を痛めた。
膝をひねった。
首に負担がかかった。
肩がこった。
このような体からの刺激によって、痛みを感じることがあります。
痛みを感じると、人は自然に痛み行動を取ります。
腰を押さえる。
顔をしかめる。
動くのを避ける。
痛いと訴える。
横になる。
仕事や家事を休む。
これは、体を守るために必要な反応です。
急性の痛みでは、無理をしすぎないことも大切です。
しかし、問題はその後です。
痛み行動に対して、周囲から強い反応が返ってくることがあります。
大丈夫。
無理しなくていいよ。
かわいそうに。
何もしなくていいから休んでいて。
あなたは悪くないよ。
こうした言葉や態度は、優しさから出るものです。
しかし、脳にとっては報酬になることがあります。
報酬とは、気持ちが安心すること、注目されること、大切にされること、嫌なことを避けられることなどです。
痛み行動をすると安心できる。
痛み行動をすると人が助けてくれる。
痛み行動をすると苦手なことを避けられる。
このような経験が積み重なると、脳は痛み行動を続けやすくなります。
これが、痛み行動が強化される仕組みです。
もちろん、これは本人が計算しているという意味ではありません。
脳が無意識に学習しているのです。
人の脳は、安心できる行動を繰り返そうとします。
不安を避けられる行動を選びやすくなります。
そのため、痛みがきっかけで始まった行動が、いつの間にか習慣のようになってしまうことがあります。
長引く腰痛でも同じです。
痛いから動かない。
動かないから筋力や体力が落ちる。
体力が落ちるから少しの動きでもつらくなる。
つらいからさらに動かない。
周囲も心配して、さらに動かないように促す。
このようなサイクルに入ると、痛みから抜け出しにくくなることがあります。
大切なのは、痛みがある人を放っておくことではありません。
また、厳しく突き放すことでもありません。
必要なのは、痛みに寄り添いながらも、少しずつできることを増やしていく関わりです。
痛みを固定させないために大切なこと
痛みを固定させないためには、まず痛みを体だけの問題として見ないことが大切です。
痛みには、体の状態、脳や神経の働き、不安、ストレス、生活環境、人間関係が関係します。
そのため、痛い場所だけを施術するのではなく、痛みが続く背景を一緒に整理する必要があります。
たとえば、腰痛の方であれば、
どんな動きが怖いのか。
痛みが出ると何を避けているのか。
周囲はどのように接しているのか。
痛みがあることで生活がどう変わったのか。
本当は何ができるようになりたいのか。
こうしたことを確認することが大切です。
痛みを改善するうえで必要なのは、痛みをゼロにすることだけではありません。
できることを増やすことです。
少し歩けた。
少し家事ができた。
少し仕事に戻れた。
少し階段が楽になった。
少し不安が減った。
こうした小さな変化が、脳にとって新しい学習になります。
痛みがあっても動ける。
痛みがあっても悪化するとは限らない。
自分の体は思っているより弱くない。
少しずつなら生活を戻せる。
このような経験が増えると、痛み行動ではなく回復行動が強化されていきます。
周囲の関わり方も大切です。
痛みを否定しない。
つらさを受け止める。
でも、何でも代わりにやりすぎない。
できたことに目を向ける。
小さな行動を応援する。
このような関わりが、痛みの固定を防ぐ助けになります。
ここから整骨院グループでは、慢性的な痛みに対して、痛い場所だけを見るのではなく、痛みが続く背景まで考えます。
マッサージで治らなかった方。
骨盤矯正で治らなかった方。
検査では異常がないと言われたのに痛みが続く方。
痛みへの不安が強く、動くことが怖くなっている方。
そうした方ほど、体だけでなく、脳と神経、生活環境、不安、痛みへの反応を含めて見ていくことが大切です。
施術で体の緊張を整える。
脳や神経の過敏さを落ち着かせる。
痛みの仕組みを分かりやすく説明する。
体幹や動作の練習で動ける自信を取り戻す。
生活の中でできることを少しずつ増やす。
このように、痛み行動ではなく、回復行動を増やしていくことが重要です。
痛みがあることは、決して悪いことではありません。
痛みを訴えることも、恥ずかしいことではありません。
ただ、痛みだけが自分を守る手段になってしまうと、回復が難しくなることがあります。
だからこそ、痛みを理解し、痛みに支配されない生活を少しずつ取り戻すことが大切です。
・痛み行動が続くと、動かない、怖がる、避けるというサイクルができ、痛みが長引きやすくなることがある
・痛みを否定せずに受け止めながら、少しずつできることを増やし、回復行動を強化することが大切
長引く痛みは、体の問題だけで説明できないことがあります。
痛みは本当にあります。
しかし、その痛みがどのように続いているのかには、脳や神経、不安、周囲の関わり、生活環境も関係します。
疾病利得という考え方は、患者さんを責めるものではありません。
痛みから抜け出すために、どのような関わりや行動が必要かを考えるための視点です。
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