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スタッフブログ

腰痛の手術を受ける前に知っておいてほしいこと ― 手術しか改善方法はないのか?

腰痛の手術を受ける前に知っておいてほしいこと ― 手術しか改善方法はないのか?

変形性関節症 ヘルニア

腰痛が長く続くと、「もう手術しかないのではないか」と不安になる方も少なくありません。

整形外科で検査を受け、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症と診断されると、「この背骨の異常が原因です」と説明されることもあります。そして、症状がつらい場合には手術を勧められることもあります。

しかし、ここで一度立ち止まって考えていただきたいことがあります。

それは「腰の手術は本当に必要なのか」ということです。

実は、腰椎椎間板ヘルニアなどの腰痛に関しては、手術をした場合と、手術をしない保存療法の場合で、長期的な回復度には大きな差がないという研究報告があります。

腰痛で悩まれている方、または手術を検討している方が周りにいらっしゃる方は、ぜひこの内容を知っておいてください。

こんな人に読んでほしい

・腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症と診断され、手術を勧められている方

・腰痛が長く続き、「手術しかない」と言われて不安を感じている方

・手術をするべきか、保存療法を続けるべきか悩んでいる方

腰椎椎間板ヘルニアの手術と保存療法の違い

腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の治療には、大きく分けて2つの方法があります。

・手術

・保存療法(手術以外の治療)

保存療法とは、手術を行わずに症状の改善を目指す方法です。

例えば

・リハビリ

・運動療法

・生活指導

・薬物療法

・物理療法

などが含まれます。

多くの方は、「手術をすれば確実に良くなる」と考えてしまいがちです。

しかし実際には、必ずしもそうとは限りません。

ある研究では、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の手術について次のように報告されています。

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症に対する手術の短期成績は保存療法よりわずかに優れているが、その差は時間の経過とともに減少し、長期成績は保存療法と変わらない

(Chou R. et al, Spine, 2009)

つまり、手術をした場合は最初の数ヶ月で痛みが早く改善することがありますが、2年後などの長期的な回復度では保存療法とほとんど差がないということです。

この事実は、腰痛治療を考えるうえでとても重要です。

もちろん、手術で改善する方もいます。

しかし「手術をすれば必ず治る」という単純なものではないということを知っておく必要があります。

ガイドラインでは手術は「最後の手段」

ヨーロッパのガイドラインでは、腰椎椎間板ヘルニアに対する手術について次のように示されています。

手術はガイドラインに従った保存療法を2年間行っても効果がないか、激しい痛みが続く患者に限るべき

(European COST, 2004)

つまり、

まずは保存療法を行う

それでも改善しない場合に手術を検討する

という順番が推奨されています。

また、2年から10年の長期経過を見た研究では、手術と保存療法の回復度に差がないことも報告されています。

このような情報を知っておくと、「すぐに手術を決めなくてもよい」という視点を持つことができます。

実際、多くの患者さんはガイドラインに沿った十分な保存療法を受けていないこともあります。

そのため、手術を決める前に、保存療法についてしっかりと説明を受けることも大切です。



手術で痛みが改善する理由とは

ここで少し興味深い視点があります。

それは、「手術の効果の一部には心理的な要素も関係している可能性がある」という考え方です。

ある医師は、

手術は最大のプラシーボ効果

と表現しています。

プラシーボ効果とは、簡単に言うと「思い込みによる効果」です。

例えば、飴を「酔い止めの薬」と言って渡したところ、本当に酔わなかったという例があります。

これは、脳が「効くはずだ」と思い込むことで体に変化が起こる現象です。

腰痛でも同じようなことが起こる可能性があります。

例えば次のような流れです。

腰が痛い



病院でレントゲンやMRIを撮る



背骨の異常を指摘される



「この異常が原因だ」と信じる



手術で修復すれば治ると期待する



手術を受ける

このような強い期待感があると、脳の中の「側坐核」という部分が活性化します。

この部分は痛みの制御にも関係しています。

研究では、期待感が大きいほど側坐核が活性化することが報告されています。

また、脳の働きが変化すると

エンドルフィン

ドーパミン

といった物質が増えます。

エンドルフィンは、体内で作られる天然の鎮痛物質で、モルヒネより強い鎮痛作用を持つとも言われています。

つまり、手術による期待感や安心感が、脳を通じて痛みを軽減する可能性があるということです。

もちろん、これは手術の効果を否定するものではありません。

しかし、痛みの感じ方には「脳の働き」が大きく関係していることは知っておく価値があります。

まとめ

・腰椎椎間板ヘルニアなどの手術は短期的には改善が早い場合があるが、長期的には保存療法と大きな差がないとする研究がある

・ガイドラインではまず保存療法を十分に行い、それでも改善しない場合に手術を検討することが推奨されている

・腰痛の感じ方には脳や心理的要因も関係するため、手術だけが唯一の解決方法とは限らない

腰痛の治療において、手術は確かに一つの選択肢です。

しかし、それは必ずしも最初に選ぶべき方法ではありません。

保存療法でも改善する可能性があること、そして腰痛には脳や神経の働きが関係することを知っておくことはとても大切です。

もし「手術しか方法がないのでは」と悩んでいる方がいらっしゃいましたら、一度落ち着いて情報を整理し、保存療法についても検討してみてください。

腰痛の改善にはさまざまな方法があります。

一人で悩まず、専門家と相談しながら自分に合った治療法を見つけていくことが大切です。

本記事は、厚生労働省認可の国家資格
柔道整復師・東 剛士が監修しています。

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